HOME > スニーカー物語 > 大阪国際滝井高校 軽音楽部顧問 柴田修一先生 インタビュー

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2005年の初出場から8年目の今年、3度目のグランプリ出場を果たした大阪国際滝井高校 軽音楽部。2年生中心のチーム構成でグランプリ大会を控える大阪国際滝井高校 軽音楽部 柴田修一先生に、今年のスニーカーエイジにかける想いをお伺いしました。

普段はドラムが使えない練習環境の中でチームを仕上げるという壁。足りない技術面を精神面で補い、勝負していきます。

大阪国際滝井高校は、進学校ではないですが、コースが7つに分かれているので、進学に向けて勉強が必要な生徒達は、クラブよりも勉強が優先されます。だから、演奏メンバー12人全員が揃う事がなかなか難しいのが現状です。技術的なことよりも、日程が合わないことに不安を感じることもしばしば。当クラブは、顧問として申し訳ないと思うのですが、他校さんに比べ、技術面での課題があると自覚しています。もちろん技術を鍛える練習はしますが、足りない技術力を、精神面を鍛えて補って勝負をしていく方針で日々練習を行っています。
「気持ちから奏でる音楽」は、伝わるものが全然違う。自分たちの気持ちをどこまで持っていけるかが本当に大切だと日頃から伝えています。

毎年本番に向けて超えなければいけないハードルは、「まとまる」ということ。

毎年本番に向けて超えなければいけないハードルが、「まとまる」ということ。
毎回練習しながら言っているのですが、まだまとまりが必要だと心から実感できるほど、生徒たちは追い込まれていないんです。私の顧問としての役割は、まだ危機感のない生徒たちを追い込んで仕上げていくことです。
私は、彼女たちが音楽をするにあたって、今まで音楽をやっていた子も、これからも続けていく子も、スニーカー以外の場面では、そこまで追い込んで音楽するという経験はそうそうないと思っています。他のステージでは、「みんなで笑顔で演奏できたら良いじゃないか!」という空気で演奏出来てしまうけれど、スニーカーエイジはそれだけでは通用しない。吐き気がするほど、イヤになるくらい、追い込まれて練習をしないと、結果がついてこない。それは、自分自身を追い込むことでもあります。でも、それが成長につながっていくんだと思います。
私は元々はそんなに生徒を追い込んでいくタイプの教師ではないんですけど、この時ばかりはね。(笑)

「技術面」と「パフォーマンス面」の追い込み

「追い込む」ということに関して、1つは、技術的な追い込みをします。もう細かく、細かく、カウントを取って、ずれているところ、できないところがあったら何回もやり直す。生徒が泣いたら「なんで泣くねん!」と檄を飛ばすこともありますが、そうして一人一人仕上げていきます。
もう1つは、精神面やパフォーマンス部分での追い込みです。当クラブの生徒達は、基本的に内弁慶なので「笑顔」で演奏することができないんですよ。(笑)演奏に対するダメ出しよりも、まず「笑顔でやろう!」と言いたくなるくらいです。
笑顔で演奏することもそうですし、単に演奏するだけではなく、「自分たちの音楽で、気持ちを伝える」ということを目標にしているので、練習の間、超えないといけないものが、他にも彼女たちにはのっかかってきます。
例えばボーカルは、単に歌を歌えば良いだけじゃない。「あなたは何を伝えたいの?」「どんな気持ちを、見てくれている人に伝えたいの?」っていう問いを投げかけています。音楽ってカタチが見えないので、この問いの答えをどう表現するかも、とても難しいことだと思いますが、考え続けることで、明らかに変わってくるものがあります。
自分たちの「伝えたいもの」の「答え」を本番までに見つけることが最大の課題ですね。「答え」が見つかれば、チームには自ずと「まとまり」が見えてくるものだと思っています。

私が顧問になる前に出場した際の自由曲が、「校歌」だったんです。

私が顧問になる前に、クラブとしては既にスニーカーエイジにはエントリーしていたのですが、その時の自由曲が「校歌」だったんです。
軽音楽のコンテストとして、「校歌」を人に聴かせるレベルまで持っていくのはとてもハードルが高いことですよね。結果、人に聴かせられるレベルのものにはならず、満足のいく結果にはならなかったようです。それがスニーカーの第一歩でした。
そこから始まって、最初のうちは、私自身も「自分たちが満足できればいいね」という捉え方でスニーカーエイジに臨んでいました。
しかし、他校さんが「聴く人の心に響く」音楽をやっているのを見て、それが動くきっかけになりました。私たちもそうやって、「ひとりでも良いから感動してくれる人がいたらいいね」って感じたことが、「自己満足」から脱出する原動力になりました。
聴いてくれた人が感動してくれる、それを演奏する側が感じられる様な場を作ってくださるっていうのが、スニーカーエイジだと思っています。

「まとまり」が大切だと感じたのは、スニーカーエイジ出場3年目。他校さんの演奏を指を咥えて見ていた。

先ほども言いました通り、スニーカーエイジに出場し始めた当初は、とにかく「自分たちが楽しけりゃ良し!」それがもう一番でした。無理をしたり、練習で辛い思いをする事も大してなく、必死に追い込んで頑張るっていう感じではなかったですね。
でも、ある時、他校さんの上手な演奏を、指咥えながら見て、ああいう風になりたいねって生徒たちが言い始めた。私も私で、他校さんと交流会を一対一でやらせてもらったときに、泣きそうになったんです。その学校さんの演奏、凄いねって。ここまで伝える気持ちってあるんだねって。私たちのためだけに、ここまで心を込めて演奏してくださったことに感動しました。
そこから「あの学校さんを目標にしようね」と、目標ができました。私が顧問になって2年目の時です。
「スニーカーエイジ」という大会に対する想いに火が付いたのは、その翌年、3年目のことです。初めの頃は私の想いよりも、生徒たちの頑張りたいという気持ちが強くて、私が生徒たちに引っ張られる形で真剣に取組むようになりました。

「普段生徒たちが味わえないものを体験できる場」それがスニーカーエイジの魅力のひとつです。

私ね、初めてスニーカーエイジの会場に座ったときは、本当に傍観者的でした。本音を言うと、最初はあの空気についていけなかったんです。
あの会場で、予選会で、単に技術を競うだけじゃなくて、「1つになろうよ」っていう空気を、三木楽器さん中心に作られていたことに、最初はなかなか入りこめなかった。どこか冷めて見ているところがありました。
でも、練習に本腰を入れて参加すると見方が一変しました。あの会場で大勢の観客が1つになった時に生まれる一体感に、独特な「力」を感じました。自分もあの空気を作っている一員だとわかったんです。あの感覚は、大会を経験してみないとわからないですね。
あの独特の空気は、生徒たちが普段味わえないものです。それを体験させてやれる事がスニーカーエイジに参加する一番の理由ですね。
あの空気の中で、最終的に、この生徒たちがどこまで成長できるかという事が大切だと思っています。演奏を創っていく過程でしんどい思いをすることは分かっているんだけど、それでもスニーカーエイジに出たい!という彼女たちの気持ちを大切にしたいと思っています。
スニーカーエイジは、音楽の技術の上手・下手だけでなく、例えば応援団とどう一体感を作っているかとか、クラブとして一生懸命取組めているかも、評価してもらえる。
技術以外のところも評価されるっていうのがあるのは、他の大会にはないですね。例えば応援団に回ったメンバーも、自分たちが頑張ることが、評価され、結果につながるっていうことが、音楽以外の事も頑張るモチベーションになります。そのことが、出場メンバーだけでなく、クラブ全体の「まとまり」にもつながっていく。これはなかなか他にはないこと。だから、私はスニーカーエイジが好きなんです。