育英西高等学校 音楽部 木村知弘先生 インタビュー

インタビュー07 育英西高等学校 音楽部 木村知弘先生

2012年に初めてスニーカーエイジに出場、今年でグランプリ大会に向けて3度目の挑戦となる育英西高等学校 音楽部。軽音楽経験者として、創立から部員たちを牽引している顧問の木村先生に「スニーカーエイジにかける想い」をお伺いいたしました。(取材は第35回記念大会の予選会前に行わせて頂きました)

育英西高等学校 音楽部 木村知弘先生

機材も何もないところから始まった音楽部。

僕は育英西高等学校に赴任してすぐ音楽部の顧問になりました。僕自身が学生時代に軽音楽部でドラムをやっていたので、その経験を活かせると思ったんです。でも、初めて音楽部の部室に行ってビックリしました。みんな、リコーダーを吹いてたんです!当時はリコーダー部という感じでしたね。

どうしようかなと思っていると、部室の端っこでギターを弾いてる生徒を見つけました。その生徒はクラシックギターでゆずの曲を弾こうとしていたんです。そこで僕は「ゆずを弾くなら、フォークギターの方が良いよ」とアドバイスしました。そこから学校や部員と話し合って、その年の部費でフォークギターを買いました。それが軽音楽への第一歩でした。

ドラムセットを買えたのは、4年前かな?それまではフォークギターとエレキベース、あとはタンバリンっていう感じでした。バンドの形態になったのは、本当につい最近の話なんですよ。

「目標はスニーカーエイジに出ること!!」

育英西高等学校 音楽部

エントリーのきっかけを作ってくれたのは、教育実習で学校に帰ってきていた音楽部のOGです。彼女は、弟がスニーカーエイジに出場するのを応援しに行ったらしいんですが「すごく感動した!自分たちの後輩たちにも是非あのステージを味わってもらいたい!」と。実は僕も高校1年生のときスニーカーエイジに出場したことがあるので、その存在は知っていました。でも、当時の音楽部では機材は何も揃っていないし、まだバンドとしての活動も全然していなかったから、スニーカーエイジに出場できるような状態ではありませんでした。

何年か経ち、ようやく部内でバンドが組まれ始めると、今度はどんどん入部者が増えてしまって……1つの学年に40人も部員がいるときもあったんですよ。そうなると、もう身動きが取れません。音楽部ではあるんですけど、バンドごとに活動していたので「校内のライブで初めて顔を合わす先輩がいた」なんてことが普通にありました。これじゃいけない、なんとか「クラブ活動としてのまとまり」が欲しいと悩んでいたときに、スニーカーエイジのことを思い出しました。

そこで3年前の1月、部員のみんなに「今年の目標はスニーカーエイジに出ること!!」と宣言しました。その時、僕が音楽部の顧問になってから8年経っていましたが、すべてが初めてのことだったので、スニーカーエイジに向けていろいろと取り組んでいくうちに次第に不安になっていきました。「スニーカーエイジに出たいのは、自分だけなんちゃうか?」って。それを正直に生徒たちに話すと「ここまできて何言うてんねん、先生!」「私らもうやる気やねんから!」って言ってくれたんです。みんなの意思を再確認できて、生徒たちと共に前を向いて進むことができました。

スニーカーエイジ常連校との交流で、生徒たちが身を持って体験したこと。

育英西高等学校 音楽部 木村知弘先生

初めてスニーカーエイジに出場することになった年、スニーカーエイジ常連校の奈良育英高等学校さんに交流会へ呼んでいただきました。そこで僕も含めて、部員全員が打ちのめされましたね。演奏のレベルはもちろん、それ以上にステージがひとつのショーになっていることに驚きました。自分たちはただ演奏してるだけなんだって気付かされたんです。

さらに、奈良育英高等学校の生徒さんたちは元気良く挨拶をするし、私たちとは礼儀正しさが違いました。生徒たちにとって、僕は教師だから「大人」なんですよね。だから、僕がいくら注意したって大きな変化が見られないこともあります。僕も高校生のときは同じでしたよ(笑)。でも、同世代の子たちが当然のようにやってるのを見て、ズンと胸にくるものがあったんじゃないでしょうか。僕が100回言うのと、実際にその場で目の当たりにするのでは、そのたった1回の方がはるかに説得力があったみたいです。

育英西高等学校 音楽部 木村知弘先生

どれだけ周りの人がこのステージを作ってくれているのか、感謝することの大切さ。

スニーカーエイジが普通のライブやコンテストと違うところは、やっぱり「クラブ活動としての評価」というところだと思います。うちの学校内でもライブはやっていますが、それはみんなで演奏して、騒いで、おしまい。でも、スニーカーエイジはそうじゃない。クラブ活動を通して仲間との繋がりだけでなく、マナーを身に付けることができると思うんです。

それに軽音楽は生楽器じゃないので、いろんな機材を使いますよね。ギターアンプやマイク、それを繋ぐためのコード……そういうものをお借りしなければいけません。だから僕はいつも生徒たちに「自分たちが演奏するために、どれだけの人がステージを作っているのか思い知りなさい」と言っています。「何もかも揃っていることを当たり前だと思ったらアカン」と。

自分たちの個性を活かして……目標はもちろんグランプリ大会!

育英西高等学校 音楽部 演奏

去年スニーカーエイジに出場したメンバーは全員引退してしまったので、今年のメンバーは全員このステージに立つのが初めてです。ここだけの話、ギタリストはギターを始めてまだ半年の1年生です。でも、うちの部はピアノを弾ける生徒がたくさん在籍しています。だから、自由曲はピアノが主役になれるような選曲にしています。今年はショルダーキーボードをお借りすることができたので、そちらにも注目していただきたいです!

あとは、他の出場校さんと選曲がかぶらないように気を遣っています。今年はフジファブリックさんの「虹」です。「知らない曲だけどいいなぁ、誰の曲なんだろ?」って思ってもらえたら勝ちだなって思っています。

スニーカーエイジに出場するのは、今年で3回目です。初年度に奇跡的に入賞することができましたが、次の年は予選で敗退してしまいました。僕も生徒たちも、グランプリ大会に出たくてしょうがないんです。今年もお客さんの意表を突くような演奏をお見せしますので、ぜひ楽しみにしていてください!


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